月下の誓約


 和成は額に手を当て、ため息をつく。


「塔矢殿の過保護には困ったものです。紗也様に対してこれだと、実の娘さんにはどれだけ過保護な事か思いやられますよ」


 和成が肩を落とすと、紗也が横から指差した。


「塔矢に娘の話振らない方がいいわよ。もう、見てられないくらいデレデレなんだから」

「それはかえって見てみたい気もしますね。私には想像も付きませんし」

「そういえば塔矢って、和成と同じ年にはもう子供がいたのよね? じゃあ、結婚したのはもっと前なんだ」


 紗也が着ぶくれた上着を脱ぎながら尋ねた。


「そうですね。確か、二十五歳の時だと聞いてます」

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