月下の誓約
3.雪合戦
正門を出てすぐ右手で城の雪像作りが行われている。
まだ作り始めて間もないので、やっと土台の部分が出来たばかりだった。
和成が挨拶をすると、作業中の者が皆、紗也に一礼する。
今日の雪像担当は塔矢隊と茂典隊。
いずれも隊長は不在で、隊員の一部が作業に携わっていた。
「その水、何に使うの?」
紗也が和成の持ってきた手桶を指差す。
「あぁ、これに雪を混ぜてみぞれ状にしたものを接着剤代わりに使うんですよ」
「へぇ、なんかおもしろそう」
紗也は笑ってしゃがむと、手桶の中に雪を放り込んだ。
そのまま紗也は和成と共に、雪像作りの作業を黙々と手伝う。
少しして作業に慣れてきた頃、後ろを向いた和成の背中に紗也が雪玉を投げつけた。軽い衝撃に和成は振り向く。
「いきなり、何をなさるんですか」