月下の誓約


 隊員のひとりが問いかける。


「で、いつ?」

「とりあえず雪玉をたくさん用意しましょう。むこうの大将はじっとしているのが苦手な方ですからね。ゆっくりと準備を整えていればすぐに好機は訪れます」


 和成は笑って雪玉を丸め始めた。

 少しして和成が様子を窺うと、雪山の上から顔を覗かせる紗也の姿が見えた。
 予想通りの行動をする紗也がおかしくて思わず笑いをかみ殺す。
 さらに沈黙していると、とうとう我慢できなくなったのか雪山の陰から姿を現した。

 紗也は両手を腰に当てて胸を反らしながら大声でわめく。


「ちょっと、和成! いつまで隠れてるのよ! 合戦にならないでしょ?!」


 次の瞬間、和成が皆に号令を発した。


「今です! 全員紗也様を集中攻撃!」

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