月下の誓約


「わかりました。斥候の報告を待って作戦を開始します。それまでは敵の動向に注意しつつそのまま待機して下さい」

『どのくらいだ?』

「三十分以内には」

『わかった』


 電話を懐にしまった和成は、中央司令所に向かって歩き始める。
 右近もその側をついてきた。

 砦の中心に独立して建てられた建物が中央司令所だ。
 戦のない時は城との連絡を担っている。

 右近が軽い調子で話しかけた。


「なぁ、戦が終わったらさ、一緒にどっか遊びに行かね?」
「”戦が終わったら”とか言ってると命を落とすらしいぞ」
「おまえ、命落とすような気がしてる?」
「全然」
「だよな」


 二人で顔を見合わせて笑う。

< 44 / 623 >

この作品をシェア

pagetop