月下の誓約
「わかりました。斥候の報告を待って作戦を開始します。それまでは敵の動向に注意しつつそのまま待機して下さい」
『どのくらいだ?』
「三十分以内には」
『わかった』
電話を懐にしまった和成は、中央司令所に向かって歩き始める。
右近もその側をついてきた。
砦の中心に独立して建てられた建物が中央司令所だ。
戦のない時は城との連絡を担っている。
右近が軽い調子で話しかけた。
「なぁ、戦が終わったらさ、一緒にどっか遊びに行かね?」
「”戦が終わったら”とか言ってると命を落とすらしいぞ」
「おまえ、命落とすような気がしてる?」
「全然」
「だよな」
二人で顔を見合わせて笑う。