月下の誓約
いつもの戦なら本当にそんな気はしない。
だが今回は紗也がいる。
和成の胸にはずっと一抹の不安がわだかまっていた。
「で、どこに行きたいんだ?」
和成が尋ねると右近は満面の笑みで答えた。
「どこでもいいけど、女がいるところ」
和成は目を逸らして、大きくため息をつく。
「そういうところ、俺は遠慮したい。女はうんざりだ」
それを聞いて右近は大げさにのけぞった。
「何? おまえ、うんざりするほど女を満喫してんの?」
「そういう意味じゃない」