月下の誓約
「お怪我はございませんか?」
雪の上に座ったままの紗也に、和成が跪いて問いかける。
紗也は右の足首の辺りをさすった。
「足が痛い」
「失礼します」
断りを入れて和成は紗也の右足の靴と靴下を脱がせ、足首を触って確認する。
紗也が痛そうに顔をゆがめた。
「骨に異常はないようです。少し捻っただけでしょう」
靴下と靴を元に戻し、和成は紗也に背中を向けてしゃがむ。
「どうぞ、お乗り下さい。砦までお運びいたします」
紗也は黙って和成の背中に負ぶさった。