月下の誓約


 和成と目が合った彼は、思い出したように叫んだ。


「その人! 杉森の軍師です!」


 一斉に浜崎兵が、彼に注目する。


「何?! 本当か?!」


 和成は思わず心中で舌打ちした。
 さらにまずい方へ事態が転んだようだ。


「本当です。以前、早朝に少しの間だけ広域情報通信網で配信されていた写真がこの人の顔でした」


 声高に言い放つ彼の声を聞いて、紗也が和成の背中に顔を伏せる。


「和成、ごめん!」
「お気になさらないで下さい」


 小声でそう言いながら、和成はゆっくりと紗也を背中から下ろした。

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