月下の誓約





「死んでも守り抜け」




 再び先の戦の時聞いた塔矢の言葉が聞こえた。


(死んだら守れませんけど?)


 思わず揚げ足を取ってみて気がつく。
 確かに死んだら守れない。
 自分を信じろと和成が紗也に言ったのだ。
 自分が死んだら紗也はどうなる?
 深淵に沈みかけていた意識を無理矢理引き上げると、感覚を失いかけていた全身の痛みが共に蘇ってきた。

 紗也を守りきるまで死ぬわけにいかない。
 痛みにかまっているヒマなどない。

 和成は紗也を守る事だけに意識を集中する。
 すると、全身から痛みが引いていった。
 それと同時に思考も停止した。

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