月下の誓約
夜になって五日ぶりにほんの少しの食事を終えた和成は、塔矢が後で寄越すと言っていた薬がまだ来ていない事に気付く。
ひょっとして紗也の事だったのだろうかと横になったまま考えているところへ、部屋の戸が少し開いて紗也が顔を覗かせた。
「和成、起きてる?」
「紗也様。雪祭りにお出かけにならなかったのですか?」
背中に何かを隠し持って、紗也は部屋の戸を後ろ手に閉める。
そして寝台のそばまでやってきた。
「塔矢が連れて行ってくれるって言ったんだけど、塔矢は家族がいるから邪魔しちゃ悪いし。私のせいで和成が寝てるのに私だけ遊びに行っても楽しくないもん」
「そんな事、お気になさらなくても……」
苦笑する和成の前に、紗也は後ろに隠していたものを差し出す。
「だから、はい! 和成にも小さい雪祭り」