月下の誓約
差し出されたのは盆に乗った小さな雪だるまだった。
見ると盆を持った紗也の指先が赤くなっている。
「ありがとうございます。紗也様がご自分でお作りになったんですか? 手が冷たかったでしょう」
「うん。あ、そうだ。和成、熱があるんだよね」
そう言って紗也は雪だるまを乗せた盆を寝台の横にある台の上に置き、冷えきった両手で和成の頬を挟んだ。
「どう?」
紗也のしっとりと冷たい手の平が微熱で火照った顔に心地よく、和成は思わず目を細める。
「冷たくて気持ちいいです」
和成がそう答えると、紗也も微笑んで見つめ返した。
「私もあったかくて気持ちいい」
和成は紗也の手に自分の手を添えて手の甲も温める。