月下の誓約


 しはらく沈黙が続き、気まずくなった和成が口を開いた。


「あの、黙り込まれると私の方が照れくさいんですけど……」


 紗也はさらに顔を赤くして、俯いたまま懇願する。


「お願い。塔矢には絶対に言わないで」
「言いませんよ。殴られたくありませんし」


 和成がそう言うと、紗也は顔を上げて和成を真顔で見つめた。


「これから言う事も。言う時は私が言うから」
「……はい」


 何の事かわからないが、和成はとりあえず返事をする。

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