月下の誓約


 紗也は和成をまっすぐ見つめながら、少し震える声で告げた。


「私、和成が好きなの」
「はい。存じております」


 和成が笑顔で答えると、紗也はそれを遮るように続ける。


「違うの! 塔矢と和成は!」
「え?」


 和成はドキリとして身を硬くした。


「誰にも邪魔されないで、和成と話してみてなんとなくわかったの。普段私は執務室で塔矢と二人きりで色々話をする事あるけど、別れた後にもっと話したくなったりはしないの。でも和成と話した後は、話す事なくなっても、もっと話したいの。塔矢とは毎日会えるけど、和成とは毎日じゃないからなのかと思ってた。けど、この間和成が大怪我した時、塔矢に抱き上げられてはっきりわかったの。塔矢と和成は違うって。抱きしめられたら、あったかくて安心してふわふわ眠くなっちゃうくらい気持ちいいんだろうなって思ってたけど、それって和成じゃなくて塔矢だったの」

「私だと安心できませんか?」

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