月下の誓約
その日和成は佳境を迎えていた技術局の仕事が一段落して、久々の休暇を城の自室でのんびり過ごしていた。
机に向かい本を読んでいるところへ、机の上に置いた電話が鳴る。
『やっと捕まった。雪祭りからこっち何やってたんだよ』
苛々したような右近の声が聞こえた。
「悪い。技術局に缶詰になってたんだ。怪我で休んだりしたから進捗遅れてて」
和成が笑って答えると、右近はひとつため息をつく。
『ま、いいや。今日休みだろ? 夕方会えるか?』
「うーん」
和成はうなって、少し考えながら天井を見上げた。