月下の誓約
おまけに護衛の和成にはなんの相談もなく、すでに上層部の了承を取り付けていた。
この奔放な君主と共にあって、一番の負担を強いられるのは和成に違いないにも関わらずだ。
紗也は机から離れるように身を反らし、うるさそうに顔をしかめて和成を見上げた。
「もう、そんな大声出さなくても聞こえるわよ」
横からフゥとため息を漏らしながら、これも恒例となっている小言を塔矢が口にする。
「和成、紗也様を怒鳴りつけるなと何度言えば分かる」
それに同調して、紗也がほくそ笑みながら、椅子にふんぞり返った。
「そうよぉ。いい加減、学習しなさいよね。よそじゃそんな態度、打ち首ものよ」