月下の誓約


 料理と酒を注文した後、和成は大きくため息をついて項垂れる。
 その様子を右近が不思議そうに尋ねた。


「なに、暗くなってんだよ」
「後悔してんだよ。軽率だったなと」
「手をつないだくらいで?!」


 右近が驚いて目を丸くする。


「だって、誰が見てるかわからない所で、たとえあの方の方から握ってきたとはいえ、俺は臣下なんだ。見たのがここの主人じゃなくて塔矢殿だったらその場で殴られてるだろうし、城の大臣たちだったらもっと大事になってたと思う」

「ちょっと待て」


 右近は片手を挙げて和成を制した。


「あの方の方から握ってきたって?」
「あぁ」

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