月下の誓約
「お? 鋭くなってきたな。その通りだけど」
「まさか結婚するとか言うんじゃないだろうな」
「いやぁ、まだまだそんな段階じゃないって。もうちょっとイチャイチャさせろよ」
照れくさそうに笑う右近に和成は釘を刺す。
「あんまりベタベタまとわりつくなよ。またふられるぞ」
「彼女はそんな懐の狭い女じゃねーよ」
「だろうけど、ふられた後、まとわりつかれる俺が迷惑なんだよ」
「おまえは懐の狭い奴だな」
「だっておまえ、ふられた後普段の三倍まとわりつくし。うぜぇんだよ」
迷惑そうに眉を寄せて、和成は酒を飲みながら右近に視線を送る。
「ひっでーっ。傷心の友を慰めてくれたっていいじゃねぇか」
右近はわめきながら、刀の鞘で向かいに座った和成の頭を軽く叩いた。
「いてっ! だから黙ってまとわりつかせてやってるだろ?」
「ちくしょーっ! 今度はぜってーふられねーからな!」