月下の誓約
和成が頭を下げたままそう言うと、紗也の明るい声が返ってきた。
「じゃあ、質問! 和成は今何回謝ったでしょう?」
「は?」
予想外の質問に思わず気の抜けた返事をして顔を上げると、紗也は先ほどとは打って変わってニコニコと楽しそうに笑っている。
一応質問の答えを考えてみたが、覚えていない。
仕方がないので降参した。
「……申し訳ありません。覚えておりません」
和成が項垂れると、紗也は得意げな笑顔で和成を指差した。
「今の入れて五回。和成にお説教するなんて貴重な体験させてもらったから気が済んじゃった」
その無邪気な笑顔に、和成もつられて思わず笑う。