月下の誓約

 4.堂々巡り



 翌朝、和成は塔矢に呼ばれ君主執務室でいきなりげんこつを食らった。


「休みの日とはいえ、たるんでるぞ! 用心しろと言ってあるだろう」
「すみません」


 頭をなでながら謝る和成の後ろで、クスクス笑う紗也の声が聞こえる。


「紗也様には謝罪したのか? 随分心配なさってたんだぞ」


 塔矢が睨みつけながら問いかけた。

 チラリと紗也に視線を向けると、おもしろそうにニヤニヤ笑いながらこちらを窺っている。

 ものすごく、きまりが悪い。


「ゆうべ帰ってすぐに謝罪しました」

「ゆうべ? 飲みに行ってたんだろう? 遅かったんじゃないのか? そんな時間にお部屋を訪ねたのか?」


 塔矢が訝しげに和成を見つめた。

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