月下の誓約
うっかり余計な事を口走ってしまったらしい。
「あ……いえ……その……」
和成が言い淀んでいると、後ろで紗也が椅子から立ち上がる音が聞こえた。
紗也はつかつかと和成に歩み寄り、眉を寄せて睨みながら腕を叩く。
「なに、バラしてんのよ!」
和成は真下を向いて小さな声でつぶやいた。
「申し訳ありません。そんなつもりじゃ……」
塔矢は声の調子を少し低くすると、紗也を見据えて静かに問いかける。
「どういう事ですか?」