月下の誓約


 うっかり余計な事を口走ってしまったらしい。


「あ……いえ……その……」


 和成が言い淀んでいると、後ろで紗也が椅子から立ち上がる音が聞こえた。

 紗也はつかつかと和成に歩み寄り、眉を寄せて睨みながら腕を叩く。


「なに、バラしてんのよ!」


 和成は真下を向いて小さな声でつぶやいた。


「申し訳ありません。そんなつもりじゃ……」


 塔矢は声の調子を少し低くすると、紗也を見据えて静かに問いかける。


「どういう事ですか?」

< 526 / 623 >

この作品をシェア

pagetop