月下の誓約


 和成は黙って俯いた。
 すると塔矢の声が低く凄みを増す。


「まさか、一線を越えたとか言うんじゃないだろうな」


 落とした視線の端で塔矢がゆっくりと拳を握るのが見えて、和成はあわてて顔を上げると思い切り否定した。


「とんでもない! ありえません!」
「じゃあ、何だ?」


 和成は再び塔矢から目を逸らす。


「……時期が来れば、必ずお話しします。今はもう少し時間を下さい」
「そうか」


 塔矢はひとつ嘆息すると、和成の肩をポンと叩いた。

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