月下の誓約
「まぁ、あまり考え込むな。どうもおまえは自分の事になると視野が狭くなるな。問題の中心ばかり見てないで、たまにはその周りにも目を向けてみろ。その逆もまた然りだ。ひとつ所ばかり見ているから手詰まりになる。戦略だってそうだろう。なぜ、同じようにできないんだ」
和成は塔矢を見つめてクスリと笑う。
「その通りですね。少し気が楽になりました。ありがとうございます」
その様子に塔矢も少し微笑んで、再び和成の肩を叩いた。
「よし。じゃあ、軍師に戻れ。午後一に臨時の軍議だ。灘元(なだもと)と浦部(うらべ)に動きがあるらしい。詳しくはその時報告があるはずだ」
「わかりました。あの、それとは関係ないんですけど、ひとつ聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
直接聞くわけにはいかない。
和成はどさくさ紛れで遠回しに聞いてみる事にした。