月下の誓約


 会議室を出て、廊下を歩きながら塔矢が和成に話しかけた。


「敵さんも、ようやく頭を使う事に気付いたようだな」


 他人事のように言う塔矢に、和成は思わず顔をしかめる。


「感心してる場合じゃないですよ」


 塔矢はそれを聞き流して、唐突に話題を変えた。


「技術局の方は大丈夫なのか?」

「今は実機での試験に入ってるので、私はほとんどする事がなんいですよ。今回の戦には間に合いませんでしたね。新型は随分と性能が上がってるんですよ。情報処理部隊の斥候班に試験がてら先行して使ってもらってるんですが、情報送信時の通信速度が前よりかなり速いって好評を得てます。画面も大きくなったので戦況図も見やすくなりました。見た目は大きくなったんですけど、以前より軽くて薄いんです。通話品質も向上してますよ。敵に見せびらかしてやりたいくらいなんですが、残念でしたね」

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