月下の誓約


「まぁ、不安定な物は使えないからな。ところで、何かいい策はありそうか?」


 塔矢が話を元に戻すと、和成は途端に表情を曇らせる。


「正直、かなり厳しいです。戦力差がありすぎますからね。まぁ、色々考えてみますが」


 そう言って和成は、塔矢と別れて一旦技術局へ顔を出した後、戦略を練るため自室へ引き上げた。

 戦が終わるまでは技術局の仕事に戻る事はできないだろう。
 和成が戻る前に新型無線電話は完成してしまうかもしれない。

 それを思うと、せっかく開発に携わったのに完成の瞬間に立ち会えないのはなんだか寂しい気がした。

< 537 / 623 >

この作品をシェア

pagetop