月下の誓約


 それと同時に今度は部隊長たちが口々に紗也に懇願した。


「紗也様、今回はなにとぞ和成殿の指示にお従い下さるようお願い申し上げます」
「どうか軽率な行いだけはお控えいただくよう重ねてお願い申し上げます」
「司令所からなるべくお出にならないようにお願い申し上げます」


 皆に次々とお願いされ、紗也は軽く混乱して叫ぶ。


「もーぉ! わかってるわよ。なんなの」


 そして、ふと見ると塔矢と和成が真顔でこちらを見つめている事に気付いた。
 何も言わないが言いたい事はなんとなくわかる。
 ひと息ついて部隊長たちに告げた。


「私もこの間の戦の事は深く反省してるのよ。和成だけじゃなく、みんなや前線の兵たちにもたくさん迷惑かけたってわかったの。だから、もう勝手な事はしないから安心して戦に専念して」


 部隊長たちは恐縮して口々に紗也に礼を言う。

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