月下の誓約
紗也は和成の極刑の事しか気にしていないものと思っていたが、前線の兵たちの事まで気にかけて反省していた事に驚いて、塔矢と和成は思わず顔を見合わせた。
そして、どちらからともなく笑みを交わす。
その様子に紗也がすかさずツッコミを入れた。
「ちょっと、そこ! 何、男同士で見つめ合って笑ってるのよ!」
塔矢と和成は益々笑い合うと、同時に紗也を見つめる。
なんだかきまりの悪くなってきた紗也は、隣の茂典を急かした。
「もう! 議長! さっさと始めて!」
突然、矛先を向けられた茂典は慌てて席を立つと軍議を始める。
まずは現時点での状況の確認がされ、続いて和成による戦略案が三つ提示された。
現時点では情報不足で作戦を絞り込めないので、新しい情報が入り次第詰めていく必要がある。
今後和成は電算室に詰めて情報処理部隊からの情報を逐次受け取り、戦略に反映させる事になった。
そんなに時間はないはずだ。
明日、明後日が正念場だろう。
これから開戦までは随時軍議を開く事として、今回の軍議は終了した。