月下の誓約
「……性急すぎましたか?」
紗也はあわてて首を横に振る。
「ううん! そうじゃなくて。それ、私が言おうと思ってたの」
「え?」
今度は和成の方が目を見開いた。
「だって、和成の方からは言いにくいかと思って。それに、和成にはずっと一緒にいて欲しいから、他の人に取られる前に私のものだって知らしめておかないと」
真顔で言い放つ紗也に思わず吹き出して、和成は笑いながら紗也を抱きしめる。
「そんな事なさらなくても、私はとっくにあなたのものです」
紗也は嬉しそうに笑って和成にしがみついた。