月下の誓約
でも考えてみればこのだだっ広い部屋の大きな布団の中に、たった一人で寝るのはちょっと寂しいかもしれない。
寝台の横、部屋の真ん中に立って改めて部屋を見回す。
「寝るだけにしては、広すぎるよな」
寝台の広さを考えると先代の時は夫婦の寝室だったのかもしれない。
「じゃあ、寝るだけじゃないか。……って何考えてんだ、俺!」
いずれ紗也と結婚したら二人でここに寝るのかな、とうっかりその先を考えそうになる。
妄想を振り払うために二、三回頭を振って、紗也を寝かせてきた謁見室へ戻った。
もしかして起きているんじゃないかと思ったが、部屋を出た時と寸分違わぬ状態で幸せそうに眠っている。
和成は再び紗也を抱き上げて寝室へ向かった。
寝台に紗也を寝かせ、布団を掛け、灯りを消す。
部屋を出ようとした時、紗也が小さな声で名を呼んだ。