月下の誓約


「和成?!」


 あたりをキョロキョロと見回した後、和成に視線を戻す。


「私、眠っちゃったの? もう朝?」


 和成は寝台の縁に座り、平然と答えた。


「はい。そろそろお目覚めになった方がよいかと存じます」


 ふと、眠る前の事が気になったので尋ねてみる事にする。


「どんな夢をご覧になってたんですか?」


 紗也が少しうろたえた。


「え?! 私、寝言でも言ったの?!」
「はい」
「なんて?!」
「こっちに来て、と」

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