月下の誓約


 電算室にある各主機は電源が自動起動になっているので、戦のために使用が停止しているはずの制御用主機に、情報が送信されているのに気がついたのはつい先ほどだった。

 技術局に問い合わせたところ、現在情報の送信試験は行っていないという。
 そこで連絡してきたらしい。

 もしかして、先ほど話題に上った斥候からの情報が城に送信されていたのではないかと、和成と隊長が話していると、別の兵士が叫んだ。


「斥候から入電です!」
「斥候から?!」


 司令所内のほぼ全員が驚いて問い返す。

 斥候は合戦中、敵陣深く侵入している事が多い。
 常に敵に見つかる危険に晒されているので、音声通信を行う事はまずない。

 写真や録音した音声等の情報通信の他、大半は文字による電信である。
 その文字も入力を迅速に行えるように記号や数字の組み合わせによる短い暗号になっていて、戦略主機内の解読命令を通じて人の読める文章に変換される仕組みになっている。

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