月下の誓約
夕方から降り始めた雨は、日が沈む頃には雷を伴って激しさを増してきた。
戦況は未だに一進一退を繰り返している。
激しい雨のせいで兵の士気も下がっているだろう。
兵力で圧倒的優位に立つ同盟軍が、そこを狙って一気に攻め込むためにこの雨を待っていたのかと思いきや、そういうわけでもないらしい。
和成は何か釈然としない、もやもやとした妙な胸騒ぎをかかえていた。
この雨を利用する気がないのなら余裕のある同盟軍は無駄な消耗戦を続けるより、一時的に退却するだろう。
こちらも退却の準備に入るべきか。
和成が戦況図を見つめて考えていると、横から紗也がおずおずと尋ねてきた。
「あの……、和成。今、どっちが勝ってるの?」
「五分五分ですかね」
「……そう。じゃあ、いいかな」
紗也がなんだかモジモジしている。