月下の誓約


 すでに刺客が失敗した事を、浦部軍には知られている。

 和成は城に連絡し、遮断されている他国との通信回線を一時的に開いてもらうよう指示した。


「灘元に浦部の刺客が失敗した事を知らせます」


 この作戦は浦部が持ちかけたのだろう。
 前線部隊の大半は浦部軍で、灘元は援護に回っている。

 難攻不落の杉森を陥落させれば、他国への脅威となる。
 噂通り秋津を制するのも夢ではない。
 そんな事を言って同盟したのだろう。

 和成が灘元に情報を流して少しした頃、援護に当たっていた灘元軍が一斉に退き始めた。
 前線の浦部軍にも動揺が広がっているらしい。

 さっそく塔矢から問い合わせがあった。


『敵の様子がおかしい。何があった?』

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