月下の誓約
「浦部の姑息な作戦が失敗した事を灘元に知らせました。詳細は後ほどお知らせします。同盟自体、瓦解したかもしれません」
『わかった。おぉ、なんかどんどん退いていくぞ』
和成が淡々と報告している端から敵があたふたと撤退しているらしい。
敵はあっという間に撤退してしまったが、塔矢たち前線部隊は念のためそのまま前線に野営して待機する事になった。
戦がとりあえず終結し、砦の部隊も交替で休む事にする。
和成が当直を申し出ると、情報処理部隊長は和成には是非やってもらいたい事があると告げた。
「紗也様のご遺体の警護をお願いしたいのです。お一人ではおかわいそうですから」
「ですが、私は……」
躊躇する和成に、隊長は頭を下げる。
「つらいのはわかりますが、どうかお願いします。紗也様が側にいて欲しいのは和成殿だと思いますので」