月下の誓約
和成は困ったように隊長を見つめた。
隊長は顔を上げて理由を話す。
以前、和成の極刑が取り消しとなった時、情報処理部隊長の尽力に対して、紗也から直々にお礼の言葉を賜ったのだという。
その時少し話をして、紗也が和成をいたくお気に召しているのを察したらしい。
「今だから言いますけど、あの時私は紗也様の軽率な行いに対して思うところがありました。いつも和成殿に反発なさっているので、極刑まではお考えが及ばなかったにしても、迷惑をかけてやろうとお考えだったのではないかと勘繰っておりました。ですから、和成殿を助けて欲しいと頭を下げられた時には心底驚きましたし、和成殿が助かった事をそれは嬉しそうにお話しなさるので面食らってしまいました。きっと紗也様は和成殿が大好きなのだと思いますよ」
和成は少し笑みを浮かべた。
そして情報処理部隊長に告げる。
「わかりました。私は紗也様の護衛ですから、最後まで警護いたします」
そう言って頭を下げると、紗也のいる霊安室に向かった。