月下の誓約
「まぁいい。それでおまえ何と答えたんだ?」
「喜んで、拝受いたします、と」
塔矢はニヤリと笑って和成を見つめた。
「決まりだな。明日就任式だ。明日からは”殿”と呼ばせてもらおう」
「塔矢殿は私を”殿”と呼びたくないのでは?」
驚いて尋ねる和成を見つめて、塔矢は静かに笑う。
「なんだ、気にしてたのか。あの頃のおまえだったらな。他人の心を汲み取れない、自分の事すらわからない。いくら智謀に長けていても、そんな奴に国を任せられるか。だからあの時紗也様にもふられただろう」
「そう言えば、そうでした」
それを思い出して、和成は力なく肩を落とした。
「でも、大臣たちはどうして私を認めてくれたんでしょう」