月下の誓約


 和成は椅子を蹴って立ち上がり、通信機に駆け寄った。
 回線を同時通信に合わせて叫ぶ。


「全部隊長に告ぐ! 直ちに昨日廃案となった守りの陣形に移行して下さい!」


 司令所内がざわついた。
 隊長が困惑した表情で和成に尋ねる。


「和成殿、いったい何が……」


 和成が口を開きかけた時、最前線の里村秋月(さとむらあきづき)から返答が来た。


『秋月です。我が隊は交戦中です。直ちに移行は困難です』
『和成ーっ! 何だ今のは!』


 塔矢からも怒号が飛んできた。

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