月下の誓約


 和成は機械的に答える。


「今言った通りです。本陣の守りを固めます。直ちに移行して下さい」


 塔矢は苛々したように声を荒げた。


『秋月は交戦中だと聞いただろう?! おまけにかなり後退しなけりゃならない。勢いづいた敵に追撃されたらどうする?!』


 抑揚のない声で和成は繰り返す。


「それでも移行して下さい。こんな議論をしている暇はないんです」


『犠牲が出てもいいのか?!』


「やむを得ません」

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