月下の誓約
しゃがんだままひざを抱えて紗也は和成を見上げた。
「和成は私に害をなすなら知ってる人でも斬るって言ったよね。それは塔矢でも?」
「無論」
即答した後、和成は苦笑する。
「まぁ、塔矢殿が相手だと私の方が斬られるでしょうけどね」
「じゃあ、私だったら?」
和成は眉を寄せて首を傾げた。
「おかしくないですか? あなたがあなたに害をなすというのは」
「違うの。この場合は私が敵の君主だったらって事」
「あなたが敵の君主……」
想像しただけで、言いようのない不快感が和成の胸に広がった。
一瞬言葉に詰まったものの、和成はキッパリと断言する。