月下の誓約


 いつもの不機嫌顔で答えて、和成は先に紗也を鞍に乗せる。
 そしてその後ろに自分も跨がった。


「走らせますので、頭を低くしてしっかり掴まって下さい」


 紗也が鞍の前に掴まり前屈みになるのを見届けて、和成は馬を走らせた。


「ひゃあぁぁっ!!」


 途端に紗也がおかしな悲鳴を上げて身体を起こした。


「ちょっ……っと! のけぞらないで下さい!」


 和成はあわてて馬を止める。

 走り出してすぐに止められた馬が不服そうにいなないた。

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