月下の誓約
「討ち取り損ねたとなると、塔矢殿はさぞかしご機嫌ななめでしょうね」
「心中お察しします」
そう言って隊長も目を伏せた。
和成が戦況報告を受けている間、紗也は彼の後ろに隠れるようにして立っていた。
話を終えた和成が振り向いた。
「紗也様。今日は砦に一泊することになります。
すぐお部屋にご案内いたしますが、私は馬を返してまいりますので、こちらで少しの間お待ちいただけますか?」
「私も一緒に行く」
すがるような目で紗也は和成を見た。
皆に心配をかけたので居心地が悪いのだろう。
それを悟って和成は承諾した。
「では、一緒にまいりましょう」
入り口に繋いでおいた馬を連れて、二人は厩舎へ向かった。