月下の誓約
側まで来た彼は、穏やかな笑みを浮かべて和成を見下ろしている。
見上げれば首が疲れそうなほど背が高い。
体つきは随分華奢だ。
戦闘には参加しない情報処理部隊の兵士も、身体の鍛練は行っている。
彼はまだ入隊して間もない兵士なのかもしれない。
よく見ると、その顔に和成は見覚えがあった。
「君は合戦中隣にいた?」
和成が尋ねると彼は嬉しそうに目を細めた。
「覚えていて下さいましたか? 佐々木慎平(ささきしんぺい)と申します。私は今回が初陣でしたが、和成殿の隣で仕事ができて大変光栄でした」
「初めてだったなら、君の方が緊張してて疲れてるだろ? 私の事は気にしなくていいから休んでていいよ」
和成はやんわりと拒否する。
だが慎平は引き下がらなかった。