月下の誓約
慎平は照れくさそうに頭をかく。
「恥ずかしながら、私は剣よりも電算機の方が得意でして……」
慎平は家が刀鍛冶をしている関係で、親から半強制的に軍に放り込まれた。
ところが子どもの頃から刀よりも電算機に興味を示していたため、剣の腕はさっぱりなのだ。
身体が大きい割りに体力も腕力も平均以下で、実戦では即戦力になれない。
そのため本人の希望もあって、情報処理部隊へ配属となった。
とはいえ、電算機だけというのも軍人として情けない。
身体を使う事は苦手でも、頭を使うことなら、少しは軍に貢献できるかもしれない。
そう思って和成が立てた過去の戦略を参考に、軍略を学んでいるのだ。
「軍師になりたいんだ?」
「ゆくゆくは和成殿のお手伝いが出来るようになれればと思っています。だから和成殿が采配を振る姿を隣で拝見できるのは光栄なんです」
「それは頼もしいな」
楽しそうに将来を語る慎平を、眩しげに見つめて和成は目を細めた。