月下の誓約
慎平は目を輝かせたまま和成に尋ねる。
「和成殿は軍師になってどのくらい経つんですか?」
「三年ぐらいかな? 私は元々塔矢隊の一兵士だったんだよ」
「では、以前は他の方が軍師を?」
「いや、軍師はいなかった。部隊長が策を出し合って協議してたんだ」
和成は塔矢の命令で、勉強のためだと言われ戦略を練っていた。
それを塔矢が軍議で提示し、立て続けに採用されて戦を優位に導いた。
何度かそんな事が続くと、さすがに他の部隊長たちも塔矢が考えたものではないだろうと感付いた。
そして、いっそそいつを軍師にしてしまえという事になり、和成が軍師に任命されたのだ。
「ちょっと笑えるだろ?」
言われた通りに慎平はちょっと笑う。