True Love
と、その時、誰かが私の肩に軽くぶつかった。

「あっ、悪ぃ。大丈……」

振り向き様に謝る彼の目が、私を見たとたん大きく見開かれる。


「…大丈夫ですよ」

私がそう答えるも、聞こえてるのか聞こえてないのか、反応がない。

あまりにマジマジと見つめられ、緊張が走る。


「あの……何か?」

「あっ…ごめん!なんでもない!…いや、あるな!俺、笹本実(ささもとみのる)って言うんだけど…よろしく!」

慌てたように話すと、彼は私の前に手を差し出した。

えっ、手?これって…握手?だよね?

いきなりのことに戸惑いながらも、ゆっくりと手を差し出すと、彼の手が私の手を握った。


「よろしく!」

「は、はい…」

「名前は?」

「え?」

「君の名前」

「あ…私は高野未来です」

「そっか!高野かぁ!」

嬉しそうに笑う笹本くん。
人懐っこい笑顔がなんだか可愛くて、子犬みたいに見えた。
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