True Love
「…俺は、高野のことが好きだ!」
言った…言えた!
言葉に出せたことで、妙な達成感が生まれる。
って!何俺叫んでんだよ!
高野に聞かれでもしたら!
思わずまわりをキョロキョロ見回す。
あ…大丈夫だ。
もうだいぶ前に高野達とは別れたんだった。忘れてた。
安心してほっと息をつく。
もう俺ヤバイな…どうなってるんだ。
「…ぶっ!」
「あ!貴史何笑ってんだよ!」
「いや…笑ってない。くっ…!」
「笑ってる!絶対笑ってる!」
「くくっ!」
なんだよ…こいつ。
人が勇気を出してカミングアウトしたっていうのに。
貴史が笑うからますます変な汗が出た。
「…はぁー。苦しかった」
ひとしきり笑うと、またいつもの貴史に戻る。
何事もなかったような顔をするから、ちょっとイラッとした。
「ったく、笑いすぎ…とにかく俺は高野が…好きだから」
『好き』という言葉を言う時、なぜか喉が詰まりそうになった。
どれだけ緊張してるんだ俺は。