True Love
振り返ると、立川くんがいた。

「発見!」

「は?」

「ちょっとこっち来て」

「なんだよお前!おい引っ張るな!」

千晶ちゃん凄い…。
立川くんのこと全然怖くないんだ。


「よし…ここなら大丈夫かな」

普段使われていない教室に入ると千晶ちゃんが呟いた。


「マジなんなんだよ」

「まあまあ。ちょっと聞きたいことがあって」

「つか、お前ら誰?」

「はぁ!?今日クラスで自己紹介したばっかじゃん!っていうか昨日の朝下駄箱でも会ってるけど!?」

「ふーん。そうだっけ?」

立川くんは全く覚えていないみたいだ。

ふと佐野くんの自己紹介を思い出す。佐野くんの時だけ、女子がきゃあきゃあ騒いでいた。

佐野くんの人気はやっぱり凄い。

わかってることだけど、ちょっとだけ落ち込んでしまった。


「…私は田宮千晶!で、この子は高野未来!わかった?」

「いや、別に興味ない」

千晶ちゃんが拳をギュッと握ったのがわかった。

明らかに、怒ってる…。
< 30 / 119 >

この作品をシェア

pagetop