True Love
「高野さん…一人?」
佐野くんだ…。
とたんに心臓が暴れだす。
ギュッと箒を握る手に力が入った。
どうしよう…答えなきゃ。
声を出そうにも震えてしまいそうで、私は頷くことしかできなかった。
「そっか」
そう言うと佐野くんは近くの椅子に座る。
…佐野くんも図書室の掃除当番だったんだ。
全然気づかなかった…。
どうしよう…緊張する。
すぐ近くに座る佐野くん。
箒を握ったまま身動きがとれない。
「高野さん、掃除するの?」
「…えっ?」
話かけられ、肩がビクンと跳ねる。
そういえば…佐野くん、高野さんって…名前、覚えてくれてたんだ。
立川くんが全く覚えていなかったから、てっきり佐野くんも覚えてないかと思った。
「…緊張してる?」
フッと、薄い笑みを浮かべる佐野くん。
頬が一気に熱くなる。
何も言葉が出てこない。