True Love
…と、急に扉の外がガヤガヤと騒がしくなった。

女の子のおしゃべりの声が耳に入る。


多分、掃除当番の人達が来たのだろう。

すると、佐野くんが急にテーブルの下へと潜り込んだ。

えっ?何…?
訳がわからず立ち尽くす。

不思議に思っているうちに、図書室の扉が勢いよく開かれた。


「…つかさ、いる?」

数人の女子の内の一人に声をかけられる。

睨むような視線にビクリとなった。


「えっと…」

私が答えようとすると、何かが足をちょんちょんと叩く。

視線を向けると、テーブルの下の佐野くんが手でばってんを作っていた。

これは、いないって言え…ってことだよね?


「い、いないよ」

鋭い視線に緊張で声が震えそうになった。


「なーんだ。やっぱり来てないじゃん」

「いつも通りサボリかぁ」

「じゃ、ウチらも帰ろう」

つまらなそうに話すと、私には目もくれず彼女達は出て行ってしまった。

嵐が去った後のように、図書室はまた元の静けさを取り戻した。

思わずホッと息をつく。
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