True Love
「そう…かな?」

絞り出すように、言葉を発した。
たった一言話すだけなのに、やっとの思い。


「そうだよ。みんなサボってる。俺だって今日はたまたま暇だったからなんとなく来てみただけだし」

「…」

なんとなく来てみた、そんな気まぐれなところも、佐野くんらしい。


…確かにサボってる人のほうが多いかもしれない。

今だってこの通り。
他の掃除当番の人は来そうにない。

さっき来たあの子達だって、ただの佐野くん目当て。

私は…サボったりしたことは一度もない。

いつだって、真面目の部類に入る。

ほんとはそれでいいのかもしれない。
それが正しいはず。

だけどこういう時思う。
なんてつまらない子なんだろうって。

佐野くんにもきっとそう思われた。

私はそれがイヤなんだ…。
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