True Love


「偉いね」

えっ…?

俯いていた私の頭に、ふわっと優しい感触を感じた。

気付いたら目の前に佐野くんがいる。

見上げると、佐野くんの笑顔があった。


私今…頭を、撫でられてる?

状況を理解したとたん、カァーッと全身が熱くなった。


「あ、あの…」

「ん?なに?」

「手が…」

「うん。撫でてる」

「っ…」

ダメだ…クラクラしてきた。


「顔、赤くなってるよ」

「なっ…」

「なってる」

「っ……」

佐野くんが笑ってる。
凄く楽しそうに。

恥ずかしい…。
でも、嬉しい。

佐野くんに褒められた。
偉いねって、言われた。


さっきまであんなに落ち込んでいたのに。
つまらない子って思っていたのに。

嘘のように心が晴れ渡る。
真面目で良かった、なんて思ってる。

私、こんな単純だったっけ…?
こんな一瞬で、心が変わるなんて。

幼い子供のように、私はただただ喜んでいた。
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