True Love


少しすると、やっと佐野くんから解放された。

真っ赤になる私を見て、くすりと笑う佐野くん。

フラフラして、今にも倒れてしまいそう。

ぼんやりした意識の中、なんとか箒を握り、掃除をする。


「じゃあ、お疲れ様」

掃除が終わると、佐野くんは図書室を出て行った。

一人になった図書室で、大きく息をつく。


佐野くんと、話した。
佐野くんに、頭を撫でられた。
佐野くんに、抱き締められた…。

思い出すと一瞬で、頬が熱くなる。


見てるだけで終わる恋だと思っていたのに。

それなのに、今日は色んなことが起こった。

私にとっては奇跡みたいな日。


嬉しくて、高まる鼓動。
トクトクと、じんわりと、体全体に温かいものが広がった。

もっと、佐野くんに近付きたい…。

そう思って、いいんだよね?

いい、よね…。





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